今回も、エンチャイルドの目指すものをテーマに、エンチャイルド理事長のコラムを紹介します。
より良い社会を実現するための教育支援&共育活動を
貧困児童を対象とする奨学金支援(延べ360人、2019年度の奨学生数は182人)をはじめ、当該地域の学校やバランガイ(最小の地方自治単位)を対象とした教育支援(教科書・図書・教材、および学習用の機器・備品などの支援)やフィーディングサービス(給食支援)を行ってきました。
支援地域は、ルソン島マニラ地域の学校とバランガイ、11カ所、ミンダナオ島ブトゥアンおよびマガリャネス地域の学校とバランガイ、9カ所です。
現地の子どもたちは、スタディーツアーの参加者(日本の支援者)を、自分たちの成長を見守ってくれる日本の良きお兄さん・お姉さん、家族の一員のように感じて交流してきました。
もちろん、スタディーツアーに参加した日本の支援者の皆さんたちも。
エンチャイルドの奨学生は、小学校を卒業して中学校(ハイスクール)に進学する時、「ピースアドボケイト」(平和の提唱者、推進者)の任命状を授与されます。
任命状の趣旨を要約すれば、「一生懸命勉学に励み、自立した人間を目指すとともに、他の人々を助け、より良い社会(平和な社会=共生、共助、共感の共立社会)の実現に寄与する人間となることを目指そう」というものです。
ピースアドボケイトでもあるエンチャイルド奨学生たちは、勉学に励むとともに、自らの自立のことだけでなく、自分も誰かの支えになりたい、他者のために生きたい、より良い社会を実現する者になりたいと考えるようになります。
実際、エンチャイルド奨学生の出身者で、社会人となった後、周囲の貧困児童のために援助を行っている青年や、学校の教師となって貧困児童たちのサポートに尽力しているエンチャイルド卒業生も出てきています。
エンチャイルドは、単なる自立をゴールとした経済的な教育支援ばかりでなく、より良い社会の実現の担い手を育てる社会教育プログラムとしての共育活動(人類の共通の宝である子どもたちを共に育てる活動)に取り組んでいます。
エンチャイルドは、支援される側から支援する側に転換させることができてこそ、真の教育支援だと考えています。