こんにちは、エンチャイルドの広報担当、地球村山歩です。

 初めて中国(北京)を訪問したのは1999年。
 北京空港の大改造が行われた年で、その後、3倍の広さになったそうで、1999年は2008年の北京オリンピックに向けて大きく中国が変わっていく起点となった年とも言えますね。

 山歩が訪ねた時は、「リニューアル以前」の北京空港でした。
 この時の訪中は日中の青年交流が目的でしたが、天門安広場の「広さ」を妙に実感したことと、スケールの大きな歴史的遺物に圧倒されたことを今も覚えています。観光地の一つ一つの移動距離も長く、それだけでも中国はやっぱり広いなあと実感しました。

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故宮(2010年、山歩撮影)

 さて、2年後2度目の中国訪問はNGO活動を開始するためでした。
 目的地は山西省。山村、農村の子どもたちは自宅から学校までの距離が遠いため通学が困難で寄宿舎生活をしながら学校生活を送らなければなりません。経費の問題だけでなく、農業などの働き手でもある少年少女たちが寄宿舎生活を送るためには親と家族の理解がなければ実現しません。そのような彼らには学資援助をする存在が必要でした。

 2000年9月、国連ミレニアム・サミットでMDGs(ミレニアム開発目標/八つのゴール、21のターゲット項目からなる2015年までの国際的な開発目標)が採択されました。

 山歩の周辺の国際協力に関心のあった数人のメンバーはこのMDGsにいかにコミットメントしようかと何度か話し合いました。

 メンバーの一人に中国出身で長く日本で生活し、日本の女性と結婚していた人物がいました。
 山西省での教育支援活動の始まりは、彼の提案からでした。

 現地のコーディネーターの選定、現地の情報収集、プロジェクトの詳細の検討を重ね、MDGsの採択の日からちょうど1年後、2001年9月、海外教育支援プロジェクトが始動しました。

 山歩はプロジェクトの日本側スタッフの一人として最初の現地視察に参加しました。
 北京からマイクロバスで山西省まで9時間。それ以上の所要時間だったかもしれません。とにかく長かった。遠かった。広大な中国大陸をひたすら西へ西へと向かいました。まさに「ゴーゴーウエスト」でした。

 さて、説明ばかりが続いてしまいましたが、コラムのテーマは「草の根国際交流体験」。
 前回の結論でお話ししたように、国際交流は、異文化交流です。異文化の中心は言語の違いです。

 私たちの活動には常に通訳者がいてくれますが、頼ってはいけません。通訳者も100%ではないこと、また個別のコミュニケーションまで全てを通訳者がフォローしてくれるわけではないからです。

 ですから、言語の習得は重要ですが、コミュニケーションはノンバーバル(非言語)の部分が実は80%と言っても過言ではありません。
 山歩の外国語能力の不足さを横に置いて言わせてもらえば、心は国境を超えて通じる、ということです。もちろん、言葉でも伝えるべきですし、伝えた方がいいのですが、やはり心(相手に対する尊敬心、誠意、努力、友好的な態度など)がなければ交流は成立しません。

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受益者の少年と指相撲をする山歩(2010年)

 中国の場合は、「筆談」も一つのコミュニケーションの手法でした(中国で使う漢字の形や意味が結構日本と違う場合もあるのですが…)。中国語の発音ははっきり言って難しいのですが、話したい言葉を中国語(漢字)カードにしてポケットに忍ばせておくのはお勧めです。「旅の指さし会話帳」という本も便利だと思います。

 現地視察に同行してくれた日本在住の中国人の男性がよく飛行機の中で、キャビンアテンダントに「コンチャンスエ(矿泉水=鉱泉水/ミネラルウォーター)」と言ってみてというのです。要するに通じるかどうか試してみろというわけです。

 「ニーハオ」「シェシェ」「ザイチエン」なら、まあ一発で通じるのですが、ミネラルウォーターを下さいと伝えるのは簡単ではありません。しかしこれは意外と重要です。ただの「水(スエ)」ではいけません。飲むなら飲めるミネラルウォーターを注文しなければ、おなかを壊してしまいますからね。水道の水を飲めるのは日本だけ、と覚えておきましょう。

 というわけで、山歩、「鉱泉水(ミネラルウォーター)」は2回に1回ぐらいは通じるようになったのです。

 ノンバーバル。表情や態度が大切です。音楽、歌やダンスなどのパフォーマンスもノンバーバルコミュニケーションには欠かせません。その国の歌を歌えればベストですが、日本語の歌でも心を込めてしっかり歌えば「国際交流」を十分に成立させてくれるものです。

 バーバルであれ、ノンバーバルであれ、相手の言語や文化を理解する姿勢、そのための具体的な努力は不可欠です。
 自戒の念を込めて申し上げます。
 学ぶことに遅いということはありません。

 異文化間コミュニケーションを楽しみましょう!


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