こんにちは、エンチャイルドの広報担当、地球村山歩です。

 【443】の投稿で、山歩がやっている小6講座「夢をもとう、志をもとう、そして行動しよう!」プログラムについてご紹介しました。

 今回は、その内容を「マズローの欲求段階説」との関連で少しお話ししてみたいと思います。

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 このプログラムは、一種の成長プログラムです。欠乏欲求を超えて存在欲求(成長欲求)を中心に生きていく人間づくりを目指すプログラムです。

 人が成長し、自己(人間らしさ、自分らしさ)を実現し、さらに自己を超越して他者と共に生き、他者のために生きる自己超越者となる、アドラーの言葉を借りれば、正しい「共同体感覚」を持った人間になることを目指すプログラムです。


マズロー欲求段階説

 欲求というのは、人間の行動の動機(目的)となるものです。
 人が何事か行動をしようとするとき、人が何かを欲するとき、そこには何らかの欲求があるものです。
 
 マズローの理論を使えば、人が自己中心の行動を起こすのは欠乏欲求によると見ることができます。もちろん、欲求自体が悪いと言っているのではありません。問題は、欠乏欲求が満たされ、欠乏欲求を従として存在欲求を主体に生きられようになるかどうか、ということです。分かりやすく言えば、いかにして「大人」になるか、ということですね。

 ここで言う「大人」とは、自立と共立を両立できる人間のことです。夢と志を持って生きる人の姿です。
 「子ども」から「大人」への転換点を表すキーワードが「自覚と自尊心」です。存在欲求を主体とする生き方への移行期の基点となるものが「自覚と自尊心」の獲得です。
 
 個人差はありますが、小学校高学年から中学生期、あるいはティーンエージャー(13~19歳)と呼ばれるこの時期がその時であり、「自立期」と呼ばれる時です。

 自立期は、欠乏欲求を超えるような存在欲求を求め始める時期です。「自分は何者か」「私はどんな存在なのか」。ある種の哲学的な問題に生まれて初めて直面する人間の成長にとって非常に重要な時期となります。

 夢を持つこと、恋愛をすることにおいても、それが欠乏欲求によるものなのか、存在欲求によるものなのかによってそれは180度違うものとなってきます。

 「自覚と自尊心」という転換点を持つことができるならば、夢は志へと昇華し、愛は相手への思いやりや尊敬心を中心としたものとなっていくことでしょう。

 自立心の本質は、欠乏欲求を主体とする生き方から存在欲求(成長欲求)を主体とする生き方に転換していくことです。自立心は、独立心でもなければ、孤立心でもありません。

 現代社会は「承認欲求」の時代の中にあります。
 承認欲求が十分に満たされていないので、多くの人々が劣等感や無力感、無関心と依存の中で生きています。自己肯定感が低いのもそれが理由です。

 そこから抜け出すためには、十分に承認欲求が満たされる体験(プログラム)が必要なのです。
 「自分は何者か」「私はどんな存在なのか」…。自覚と自尊心を獲得し、自らの存在理由に向かって自分の意思で考え、判断し、その達成(実現)に向けて行動する(生きようとする)意志を育むプログラムが必要です。

 エンチャイルドでは「ピースアドボケイト教育」の名称でそのことにチャレンジしています。
 
 エンチャイルド奨学生たちのエッセイや体験記、感想文なども、以上のような観点を持ってお読みいただければまた新しい発見があるかもしれません。

 おっと、3分過ぎてしまいましたね。

 今日はマズローの段階欲求説との関連の中で、山歩が取り組んでいる成長プログラムおよびエンチャイルドのピースアドボケイト教育について説明してみました。

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