こんにちは、エンチャイルドの広報担当、地球村山歩です。

 アルマさんがブログ【1573】(タイトル「互いの国が第二の故郷に!」)で「故郷」について話してくれています。皆さんは、お読みになりましたか?

 山歩もフィリピンを第二の故郷と思って生きている者の一人ですが、今回はちょっとリアル故郷についてエッセーを書いてみようと思います。

 お暇なかたは、お付き合いください。

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故郷に帰宅する

 故郷を出てから40年以上が過ぎた。
 コロナ禍の期間こそ帰省できなかったが、それでも毎年のように、盆暮れのいずれかは両親の顔を見に帰った。

 両親は共に健在だが、高齢であることに変わりはない。二人合わせて今年173歳になる。
 父は夫婦の年齢を合わせて数えるのが常だ。息子として、その歳の数を聞くたび、それが父なりの母への愛情表現なのだと理解している。

 コロナ禍が過ぎた頃からだ、「家に帰ってこないのか」と父が口にするようになったのは。
 私が東京に戻る時に「また来るね」と声をかければ、母は「あした来なさいよ」と言うようになった。

 「帰省」という言葉は中国の漢詩に由来し、本来の意味は、祖父母をかえりみることだという。

 私は今年から帰省に対する意識を変えた。
 「私は故郷の家に帰宅するのだ」と。

 かえりみるだけでなく、家庭生活は共に営んでこそである。

 「孝行のしたい時分に親はなし」

 その意味をデジタル大辞泉に求めれば、「親の気持ちがわかるような年になって孝行したいと思っても、もう親はいない。親の生きているうちに孝行しておけばよかったと後悔することが多いということ」と教えてくれる。

 すでに娘たちは自活している。わが子育ては終わったのだ。
 私も十分に親の気持ちが分かる年齢になった。親孝行をしたい心もある。そして親は健在だ。行動さえ起こせば、後悔することもない。悔いなく親孝行が実践できるはずの自分なのである。

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 家族のために海外で働くというフィリピン人は多い。フィリピンは出稼ぎ大国だ。
 今の私にとって東京は仕事をするための場所。
 「出稼ぎ」先だと考えるのも悪くないだろう。

 今年から、私が帰る場所は父と母が暮らす家である、と決めた。

 実際のところ、リモートワークの恩恵にあずかって、環境さえ整えば、どこででも仕事ができる時代になった。
 
 このゴールデンウイークの期間も故郷に帰宅した。
 その間、好天にも恵まれ、標高700mほどの地元の名山に二度登った。
 地元では、「岳(だけ)」と呼ばれるその山に、この20年ほどは登ることはなく、帰省だけで終わっていた。
 登山口から上りは80分ほど、下りは60分ほどで歩ける山だ。頂上近くまでは車でも行ける。
 
 山頂に至れば素晴らしい景観と出合える。雄大な太平洋を見渡し、岩手山、八甲田連峰の展望を眺めることもできる。

 一度目はずっと登りたかった山に久しぶりに登れたという満足を得た。中4日空けての二度目の登山では、「この山、本当にいい山だなあ。いくらで買えるんだろう」などと、山の主にでもなりたい衝動に駆られた。

 40年、いや生まれてこのかた、一度も本気で故郷を愛したことがなかった。
 
 故郷に帰宅するようになってからは、できるだけ故郷の町のあちらこちらを歩くようにしている。
 自然に恵まれた故郷がいとおしいと思えるようになった自分。木々の狭間から聞こえてくる鳥のさえずりがたまらなく美しく、かわいいと感じられる自分が、そこにいた。
 
 家の中では家事もしたくなる。両親をマッサージしてあげるのも楽しい。
 毎日買い物に出かけ、父の趣味事にも付き合う。
 氏神様にあいさつもし、先祖の墓の掃除もする。

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 豊かな自然の中に身を置きながら、ふと第二の故郷に思いをはせた。
 あのミンダナオの農村の子どもたちもまた、わが家族なのだと。

 4000km離れた二つの故郷。
 生み育ててくれた第一の故郷、そして心を育んでくれた第二の故郷を私は持っている。

 20年目のフィリピン…。今年の6月、私は第二の故郷に帰宅する。

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